家族信託と遺言・生前贈与・後見制度との違い

a)遺言との違い

家族信託と遺言の一番大きな違いとして、遺言は「死亡してから効力が発生する」という点があげられます。家族信託は、契約した時点ですぐに効力が発生します。

例えば、花子が一郎に自宅を相続させる旨の遺言を書いた場合と、信託した場合ではどのような違いがあるでしょうか。

遺言の場合は、花子が死亡するまではずっと花子名義のままであり、死亡すれば一郎に所有権が移転することになります。この点については、家族信託であっても同じ効果があります(※)。

しかし、花子の存命中に認知症が発症した場合は全く違った結果になります。

遺言の場合は、自宅はあくまで花子が死亡するまでは花子の所有であるため、売却することはできません。家族信託であれば、自宅の所有権の名義人は一郎になっていますので、一郎は「母のために」適切な時期に売却することができます。

そして、その売却費用は、花子の老後の資金や施設の入居費用にあてることができるのです。

※花子の死亡を原因として信託終了し、最終的な自宅の権利帰属者として一郎と定めて契約しておくことによって、遺言と同じ効果を持たせることができます。

b)生前贈与との違い

家族信託と生前贈与の一番大きな違いとして、生前贈与は「完全に自分のものでなくなる」という点があげられます。

家族信託においては、あくまで一郎に管理・処分を任せているだけなので、名義は一郎であっても、実質的な所有者は花子です。

さらに、生前贈与であれば一郎に対して贈与税・不動産取得税・登録免許税といった税金がかかりますが、家族信託であれば贈与税・不動産取得税が非課税、登録免許税は生前贈与の税率と比べて5分の1で所有権移転できます。

花子が認知症になった場合については、家族信託であれば前述のとおりですが、生前贈与については完全に一郎の所有となるため、花子が認知症になることを想定する意味がありません。一郎は、生前贈与された時点で自由に管理・処分することができ、売却することによって得たお金は当然一郎のものとなります。

c)後見制度との違い

家族信託と成年後見制度(法定後見・任意後見※)は、認知症や障がい者等の判断能力が低下した「本人のため」に財産を管理することができるという点ではどちらも同じ機能を有しています。

大きな違いとして、成年後見制度は裁判所の監督下に置かれるため、毎年裁判所に報告義務があることや、財産を積極的に運用することはできないことが挙げられます。

本人の資産が減る可能性のある投資信託もすることはできませんし、相続対策を行なうこともできません。さらに、本人の自宅を売却する際には裁判所の許可を得なければ売却できないルールとなっています。

家族信託は、委託者と受託者との自由な契約によって開始されるため、裁判所の監視下に置かれることはなく、相続対策を含めた積極的な運用を行なうことができます。

また、後見制度は原則として本人のために財産を使うことしか許されませんが、家族信託では、配偶者や子供等、自分以外のためにも財産を利用することができる点も大きな違いといえます。

※後見制度については、詳しくは第〇章「」において解説。

d)家族信託なら状況が変わっても管理し続けることができる!

家族信託と他の制度の比較を行なうと、次の図のように、たとえ本人(委託者)が認知症になったり、死亡したりして状況が変わったとしても管理を任されている受託者は何ら変わらずに「受益者のために」管理を続けていくことができます。

つまり、信託した財産の管理については、代理契約と後見制度と遺言の効果をすべて兼ね備えていることになります。

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